あの日あの時あの場所で出会ってしまった僕ら。
「ナオ」
「え?」
「三年F組の藤堂 ナオ」
「あ、あぁ。 えっと、杉山……です」
「下は?」
「え?」
「下の名前」
「あぁ、カオルだけど……え、何?」
整った顔立ち、長くてサラサラの髪。
谷間が見えるまで開かれた胸元に短いスカートから伸びる白い脚。
何度か見た覚えのある子だった。
でも僕の記憶が正しければ、僕がこの女の子と話したことは今までに確か一度もないはずだった。
卒業間近の学校。
そこで出会った同級生の少女、ナオ。
ちょっと気が強くて、たまにわがままで自分勝手な彼女との出会いは、僕にとって他の何よりも忘れられないものとなった──。